
私
第14章 9:00:00
百合子の若さが羨ましくて妬ましかった。
百合子は私に似ているのは、くせの強い髪だけだった。
素直で光のように明るい百合子を主人は愛して止まなかった。主人にとって私は金持ちの父の財産を食い潰している浪費癖の止まない我が儘な妻に過ぎなかった。
やがて私は財産を全て食い潰し、主人の力で全てを補うことになった。
自分の行動に後悔したときはもう既に遅かった。
主人は愛人を作り、私に出て行けと言わんばかりに、愛人をここへ連れて来た。
私の妻としての役割は全て終わり。
その上、愛人は私に同情したのか、変に優しくする。
私の姿が醜いから。私の居場所が無いから。
私は娘にも主人に愛されてないから。
私はもう財産がないから。
全てが妬ましくなった。
