
許嫁から始まる恋
第5章 EPISODE #5
「遙君は小春へ対する気持ちは
変わってないのかい?」
「勿論です。あの時からずっと
小春は俺の初恋で俺の許嫁です。」
「そうか。」
小春の父親は俺に微笑みかけて、
いつの間にか店員が置いて行った
冷めた珈琲を飲む。
そして、腕時計で時間を確認する。
「もう、こんな時間か。
そろそろ家に行こうか」
「そうですね」
俺達は立ち上がり、会計を済ませて、
喫茶店を出る。
空はオレンジ色から黒に代わりかけて
いる。
駅には学生はあまりおらず、
居るのはスーツを着たサラリーマンやOL。
そして、派手な化粧をした女。
小春の父親は携帯を取り出し、
誰かに電話をする。
多分、小春の母親だろうな。
数分後、小春の母親が歩いて此方に
向かってきて、俺と小春の両親とで
小春の家に向かった。
