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 巡 愛 

第3章 もう一度……


 これまで“結婚”というものは私の中で体裁のひとつのようなものでしかなく、愛や恋だのとはねじれの位置にあるものだとばかり思い込んでいた。

 自分の生い立ちや前の結婚の失敗から、誰かを愛したり愛されたりする心の余裕の無さがそんな歪んだ結婚観を形づくったのかもしれない。

 だがそれは全くの思い違いであったことに、私はこの時初めて気がついたのだった。

 私は妻に愛されていたんだ、はじめから……

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