
いつか…
第7章 :それでも
その日は
はじめてのバイトがあって
お母さんには
「なんで行くの?あんたバカじゃないの」
ぐらいに言われていたけど
おばさんは
「はじめてなんだし、
それで少しでも忘れてられるだろうから
行っておいで」
そう言ってくれた
おばさんに送ってもらい
親の迎えにきている所に戻る
「和希ちゃんのバイトなんだけど…」
おばさんが親に話す
「あの子なに考えてるのか…
行くって言ったんですよ~」
親の言葉
「少しでも忘れていられると思うから
行かせる方がいいんじゃない?
送り迎えはしてあげたら?」
おばさんの言葉に
渋々親も許可を出してくれた
夜はバイトに行った
その間は少し気が楽で…
愛想笑いも自然に出てきた
親に送ってもらいおばあちゃんの家に帰る
寝ようとして布団に入ってみる…
けどすぐに目が覚める
ベッドから出て床に座る
なにをするわけでもなくボーッとする
それが一番楽だった
真っ暗の部屋から空をみて
ただ大好きな人の名前を
心のなかで呼んでいた
"龍…"
呼ぶたびに龍と一緒にいたとき…
龍の顔を思い出した…
