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君のため。

第120章 理屈。吊り橋。でも愛。

この恋愛はなんだったのか。


吊り橋理論って知ってますか?

男の人と女の人が吊り橋の上で出会う。
吊り橋の揺れのドキドキを恋愛のドキドキと勘違いして恋に落ちてしまうっていう。

それです。きっと。

野外でしてしまったことから始まって。
スーパーの屋上、狭い車で抱き合って。
そして許されない関係で。

だから私は、
もしかしたら彼も、
勘違いしてしまったのかもしれない。
これは愛だと。こんなに気持ちが高まるってことは、とても強い愛なのかもと。

ただ、でも、本当は、
特殊な状況で性的に興奮してただけのまやかし。

理屈で考えてしまうと、それはもう呆気ない話になるんだよね。


ただ、私は思う。

吊り橋の上で、
例え吊り橋の揺れのせいでドキドキしたんだとしても、
そこから始まる愛があっても別にいいんじゃない?
それはそれでちゃんと「愛」なんじゃないかって。

吊り橋理論で出会った恋人同士っていうのは、やっぱり長続きしないらしい。

本当に私の場合もそうだったんだけど。
でも後悔はしてない。
あなたに会えて本当に良かった。
短い時間とはいえ、
人生の中であなたと本気で愛し合えて、私はすごく嬉しかったよ。



だから忘れない。

ずっとずっと覚えているよ。

私だけでも。

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