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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会

「どこに行ったか、いちいち報告する必要があるのか?」
「トスおじさんが帰ってきた時、どこに行っていたかはすぐに判ったけどね」
 う、と、トスが何ともいえない声を出した。
「昨夜、トスおじさんの服に滲み込んでいた匂いはお酒だけじゃない。女の人の使う白粉や香水が混じっていたもの」
 うぐっと、更に屠られる獣の断末魔のごとき声がトスから洩れた。
「そなた―、なかなか鋭いな」
 感心したように言うのへ、キョンシルは軽く睨みつけた。
「私だって、いつまでも子どもではないんですからね。朝帰りに白粉、香水と来れば、トスおじさんが妓房に行っていたんだってことくらい、察しがつくわ」

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