
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第3章 旅立ち
漢陽にはよく雪が降る。母ミヨンは寒いのが昔から苦手で、雪を特に嫌った。でも、キョンシルは子どもの頃から、雪の日はわくわくと胸躍らせた。外に転がり出ていって、友達と飽きるまで雪合戦をしたり、雪だるまを作って遊んだ。
春に咲く桜は、真冬に降る雪に似ている。殊に風に舞い狂う花びらは。雪の降る夜、母の眼を盗んでそっと外に出てみると、さらさらと雪が降っているのが見えた。
蝋燭の灯火を掲げれば、鈍色(にびいろ)の天(そら)から舞い降りてくる雪の花びらがボウッと照らし出され、それはもう夢のような美しさだ。キョンシルは嬉しくて、時間が経つのも忘れて小さな炎に照らされた雪を眺めていた。
春に咲く桜は、真冬に降る雪に似ている。殊に風に舞い狂う花びらは。雪の降る夜、母の眼を盗んでそっと外に出てみると、さらさらと雪が降っているのが見えた。
蝋燭の灯火を掲げれば、鈍色(にびいろ)の天(そら)から舞い降りてくる雪の花びらがボウッと照らし出され、それはもう夢のような美しさだ。キョンシルは嬉しくて、時間が経つのも忘れて小さな炎に照らされた雪を眺めていた。
