
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第18章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 祖父の願い
キョンシルの胸に俄に不安が湧き上がる。何故、今になって崔家の執事がわざわざ自分の許を訪れたのか解せない。
「馬執事、お祖父(じい)さまに何か変わったことでもあったのですか?」
疑問を率直に伝えると、馬執事は馬に似た面長の顔を曇らせた。
「実は、そのとおりなのでございます」
キョンシルの父は都でも名門中の名門といわれる上流両班崔氏の嫡子であった。現当主チェ・イルチェは礼(イエ)曹(ジヨ)判(パン)書(ソ)まで務め、先代、先々代の国王の信頼も厚い忠臣として朝廷で長きにわたって重きをなしたのだ。
今は隠居しているが、キョンシルの父崔至誠(チソン)は本来であれば、その父の跡を継いでいるはずであった。
「馬執事、お祖父(じい)さまに何か変わったことでもあったのですか?」
疑問を率直に伝えると、馬執事は馬に似た面長の顔を曇らせた。
「実は、そのとおりなのでございます」
キョンシルの父は都でも名門中の名門といわれる上流両班崔氏の嫡子であった。現当主チェ・イルチェは礼(イエ)曹(ジヨ)判(パン)書(ソ)まで務め、先代、先々代の国王の信頼も厚い忠臣として朝廷で長きにわたって重きをなしたのだ。
今は隠居しているが、キョンシルの父崔至誠(チソン)は本来であれば、その父の跡を継いでいるはずであった。
