
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥
「ソン、これを」
キョンシルは文机の引き出しから、小さな巾着を出した。
「これは?」
ソンが眼を細めると、キョンシルは微笑った。
「鏡よ」
「鏡?」
ソンがますます訝しそうな顔になる。
キョンシルが巾着から鏡を取り出すやいなや、笑顔になった。
「あの鏡だね」
「そう、ソンが初めて出逢った日、私に買ってくれたものよ。鏡を入れていたこの巾着は私が縫ったの。刺繍ももちろん自分でしたのよ。良かったら、持っていて」
「―大切にする」
キョンシルは文机の引き出しから、小さな巾着を出した。
「これは?」
ソンが眼を細めると、キョンシルは微笑った。
「鏡よ」
「鏡?」
ソンがますます訝しそうな顔になる。
キョンシルが巾着から鏡を取り出すやいなや、笑顔になった。
「あの鏡だね」
「そう、ソンが初めて出逢った日、私に買ってくれたものよ。鏡を入れていたこの巾着は私が縫ったの。刺繍ももちろん自分でしたのよ。良かったら、持っていて」
「―大切にする」
