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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

「キョンシルは雪見鳥のように可愛い。雪のように白くすべらかな膚と黒くつぶらな瞳。私の大切な雪見鳥だ」
 ふいにソンの手が伸び、キョンシルの頬にそっと触れた。
「!」
 刹那、キョンシルは飛びすさって、身を退いた。ソンの指がただほんの一瞬、頬を掠めたにすぎないのに、どうして自分はここまで過剰な反応をしてしまうのだろう。まるで触れられた箇所が火傷したかのように熱い。
 キョンシルは自分自身が判らなくなり、動転した。
「殿下、弓術のお稽古中にお邪魔を致し、真に申し訳ございませんでした」
 早口に述べ、一礼すると背を向けた。

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