
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第13章 第三話 【むせび泣く月】 出逢いはある日、突然に
だが、あの誓いの言葉は、所詮、何の意味をも持たないものだったのだろうか。トスにとっては、所詮、その場限りの空しい科白だったのか。
トスを心から信じていただけに、キョンシルの衝撃と哀しみは大きかった。翌朝、起き出してみると、キョンシルが用意した心づくしの夕餉には当然ながら、手はつけられておらず、小卓には上から清潔な布が掛けられたままの状態であった。
ふと横を見やると、トスの姿が見えない。キョンシルは慌てて両開きの扉を開けて外に飛び出した。だが、やはり、トスの姿は家の前の路地にもなかった。
トスを心から信じていただけに、キョンシルの衝撃と哀しみは大きかった。翌朝、起き出してみると、キョンシルが用意した心づくしの夕餉には当然ながら、手はつけられておらず、小卓には上から清潔な布が掛けられたままの状態であった。
ふと横を見やると、トスの姿が見えない。キョンシルは慌てて両開きの扉を開けて外に飛び出した。だが、やはり、トスの姿は家の前の路地にもなかった。
