
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか
「―何で教えてくれなかったの」
呟きにも似た問いかけに、トスはすぐに反応した。
「何のことだ」
キョンシルはくるりと振り向き、トスと真正面から視線を合わせる。
「まだ隠そうとするつもり? シヨンさんから全部聞いたわよ、私」
トスは表情を心もち強ばらせ、軽く頭を下げた。
「姉貴は相変わらずお喋りだな」
そのひと言にキョンシルの身体からわずかに緊張が解けた。こんなときなのに、シヨンを〝姉貴〟と呼ぶトスにホッとしているのだ。
「どうして話してくれなかったの、トスおじさん」
呟きにも似た問いかけに、トスはすぐに反応した。
「何のことだ」
キョンシルはくるりと振り向き、トスと真正面から視線を合わせる。
「まだ隠そうとするつもり? シヨンさんから全部聞いたわよ、私」
トスは表情を心もち強ばらせ、軽く頭を下げた。
「姉貴は相変わらずお喋りだな」
そのひと言にキョンシルの身体からわずかに緊張が解けた。こんなときなのに、シヨンを〝姉貴〟と呼ぶトスにホッとしているのだ。
「どうして話してくれなかったの、トスおじさん」
