
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第6章 崔家での日々
「ごめんなさい。私には好きな男がいるの」
ホウッとジュボクの口から息が洩れた。
「もしかして、あの格好良い剣士か? 半月前、お前をここに置いていったあの男なのか?」
ジュボクは昔から、存外に勘の鋭いところがあった。キョンシルは素直に頷いた。ジュボクの期待には応えられないが、やはり、誠意をもって相対するべきだと思ったのだ。
「そっか。キョンシル、一つ訊くけどよ、あの男はお前を幸せにしてくれるのか?」
ジュボクの瞳には心底から案ずるような色があった。彼は、トスがキョンシルをこの屋敷に置き去りにしたのも、泣きながらトスを追いかけていったキョンシルも見ている。なりゆきから判断して、キョンシルの恋に見込みが薄いことも何となく判っているはずだ。
ホウッとジュボクの口から息が洩れた。
「もしかして、あの格好良い剣士か? 半月前、お前をここに置いていったあの男なのか?」
ジュボクは昔から、存外に勘の鋭いところがあった。キョンシルは素直に頷いた。ジュボクの期待には応えられないが、やはり、誠意をもって相対するべきだと思ったのだ。
「そっか。キョンシル、一つ訊くけどよ、あの男はお前を幸せにしてくれるのか?」
ジュボクの瞳には心底から案ずるような色があった。彼は、トスがキョンシルをこの屋敷に置き去りにしたのも、泣きながらトスを追いかけていったキョンシルも見ている。なりゆきから判断して、キョンシルの恋に見込みが薄いことも何となく判っているはずだ。
