
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い
「これで儂も肩の荷が下りた。あの世に行っても、そなたの父や母に顔向けができるというものだ」
が、トスは最早、イルチェは眼中になく、懐から手巾を取り出し甲斐甲斐しくキョンシルの涙をぬぐってやっている。
イルチェは呆れたように肩を竦めた。
「近頃の若い連中ときたら、人眼を気にするということはないのかのう」
彼は部屋の隅に控えていた馬執事に目配せし、馬執事は静かに室を出ていった。
ほどなく戻ってきた馬執事の両手には小振りな箱が乗っていた。
「キョンシル、結婚が決まった祝いの品だ。受け取りなさい」
が、トスは最早、イルチェは眼中になく、懐から手巾を取り出し甲斐甲斐しくキョンシルの涙をぬぐってやっている。
イルチェは呆れたように肩を竦めた。
「近頃の若い連中ときたら、人眼を気にするということはないのかのう」
彼は部屋の隅に控えていた馬執事に目配せし、馬執事は静かに室を出ていった。
ほどなく戻ってきた馬執事の両手には小振りな箱が乗っていた。
「キョンシル、結婚が決まった祝いの品だ。受け取りなさい」
