
真っ赤な家庭
第3章 取調室
「中村!」
一言松本に言ってやりたかったが、今は睨み付けるだけで精一杯だった。
中村は裏階段から、空を見ているように上を向きため息をついていた。
今はそっとしてやろうと思ったら、
「林さん、いるの分かるんすよ。」
「…そうか。」
「林さんは何時だって僕のこと心配してくれてますよね、今回も困らせてしまった。」
「それくらい気にしてねえよ、お前みたいな若造は何回も見てんだよ。」
「僕は駄目だなあ…」
「そうか?
お前クラスの駄目な奴はここにはザラにいるぞ。」
落ち込んでいた中村が少しだけ笑って、
「早く犯人上げないともっと駄目ですよね。」
「分かってんなら、こんな所にいないでさっさといくぞ。」
「分かったよ、じいさん!」
「馬鹿!そんなデカイ孫はいないよ。」
お互い笑って裏階段を出た。
