
真っ赤な家庭
第3章 取調室
取調室のドアが開いた。
「林さん、お待たせしました。」
「松本、理由話せよ。」
「中村さんがあの家にいたタイミングが良すぎるんですよ。
尋ねたときに被害者はまだ生きていて、背中から刺されてたばかりなのに犯人を目撃してないのが、不思議なんですよ。」
「だから、疑っているのか?」
「いえ、もしかしたらまだ犯人がいたかもしれないと思っただけです。」
バンっ!
「ぼくは刑事失格ですね、被害者を死なせた挙げ句に犯人まで逃したんですよ。」
かなり悔しそうに中村が震えていたが、松本は無表情で黙っていた。
「お前と俺はくよくよしてないで、早く犯人を上げることだ。」
「そうですね…」
震えた背中で取調室を去って行った。
よほどこたえただろう。
