
真っ赤な家庭
第3章 取調室
現場へ向かう途中雨がまたスコールのように激しく降ってきたなか
「林さーん。」
中村がびしょ濡れになりながら子どものように駆け寄ってきた。
「お前、近所に聞き込みに行ってたんじゃなかったのか?」
「行ってたんですけど、僕どうしてもハサミが気になってもう一度見に行こうと行ったら、婦人が苦しそうにして倒れかかって来たので、起こそとしたら背中に…」
ガタガタ震えていた。
「背中にハサミが刺さっていたんですよ。」
同じ一課の時期キャリアと噂の松本だった。
「同じ刑事とはいえ、立派な第一発見者なので事情は取りますね。」
無表情で嫌な奴だ。
坊っちゃんでのんびりとした中村を目の敵にしてやがる。
