
喘ぎ声レッスン*SS追加中*
第28章 危篤状態
お父さんのやつれた表情を見ると、心が締め付けられるように痛い。
…だけど今、あたしの何倍も傷ついているのは実の息子である優だ。
「父さん…」
声を荒げる訳でも無く
すがりつく訳でも無く、
ただその場で呟いた。
そう言えば、優には最近の記憶が全てないのだ。…つまり、優の中のお父さんの記憶は『縛られていた頃』のまま止まっている。
どこから記憶が消えたのかは分からない。だけど、あたしを覚えていなかったのだから、ブレスレットを貰った日の出来事は覚えていないのだ。
『息子を…よろしく頼みます』
殺されるかと思っていたあたしに、静かにそう告げたお父さんの顔は、今でも鮮明に覚えている。
