
喘ぎ声レッスン*SS追加中*
第22章 追いかけてきたのは
「…」
あたしの背中をさすりながら、家まで送ってくれた仁。無言で俯きながら鍵を取り出す。
鍵を開けるのでさえも、
震えてしまう。
希望を失うと、
人ってこんなに臆病になるんだね。
…知らなかった。
こんな事なら、出会わなければ良かった。そうすればこんなに夢中になる事もなかった。
馬鹿みたいに一途に愛し続ける事なんてなかった。
きっと優があたしを思い出さなくても、あたしは優だけを思い続けて生きていくんだろう。
忘れられるものなら忘れたい。
忘れたいよ。
ガタッ!
ドアを閉めようとすれば、仁がドアを勢いよく開けた。
