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第8章 過去と現在



「打ち合わせ、随分遅くまでかかったんだな」



拓哉はそう言いながら、ユキの隣に座る。
ユキは水を口に含んだまま黙っている。
濡れた前髪から、雫が額にポタッと落ちた。



「ちゃんと拭かないと風邪ひくぞ」



拓哉は洗面所からタオルを持ってくると、ユキの頭を拭き始めた。
されるがまま、ユキは一点を見つめている。



「…どうした?」



拓哉は優しく問いかける。
ユキはコップを机の上に置くと、ゆっくりと立ち上がった。




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