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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第2章 LessonⅡ 心ときめく記念日

 確かに、初対面では輝もオーナーはどう見ても四十そこそこだと信じ込んだ。だから余計に老成して見える由佳里とオーナーの関係を必要以上に勘繰ってしまったのだけれど。
 自分でも不思議だった。何故、今日が初対面の男性に対して、こうまで関心を抱いてしまうのだろう。オーナーが由佳里と―もっと別の女性とどんな関係であろうと、所詮、輝とは関係のないことだ。所詮、オーナーと自分はゆきずりの関係にすぎず、今日という日が終われば、また逢うこともない。
 それなのに、どうして、私はあの男性のことがこんなにも気になって仕方ないの?
 自分自身に問いかけてみても、明確な応えは見つけられない。
「できましたよ」
 由佳里の弾んだ声音に、輝は現実に引き戻される。由佳里にドレスを着せつけて貰っている間中、輝はなされるがままになっていた。その傍ら、物想いに耽っていたのである。

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