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短編集

第5章 イブと自販機と男

―くだらない。
男は自嘲して煙草に火を点けて歩きだす。
風が強くなってきた。

「あれ?」
あたりは、まるで草原になって、暗闇に延びる道を男は歩いている。
しかし、その暗闇に、小さな白い明かりが見える。

―なんだろう?
男は少し早足で明かりに近づく。
だんだんわかってきた。
明かりは1台の自動販売機だった。
こんな場所で、誰が利用するのか理解に苦しむが、ジュースやコーヒーが販売されていた。

―なんだよ、自販機か。
男は何を期待したのか、自分でもよくわからなかったが、何故か安心した気持ちになった。


―ホットコーヒー買うか。

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