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孤独を埋めて、満たして

第1章  孤独を埋めて、満たして


♢ ♢ ♢



「── 立花、悪いがこれを成瀬の家に届けてくれないか」



放課後の職員室で担任から書類を押し付けられた私は、それを鞄の中に仕舞い込み、夕暮れの街へと歩き出した。


スマホの地図アプリが示したのは、静かな高級住宅街に佇む一軒のモダンな邸宅だった。

明かりの消えた大きな家。一人で暮らすには広すぎるその空間が、彼の抱える空白の大きさを物語っているようだった。


門扉をくぐり、インターホンを押そうとした、その時。不意にカチャリと音がして、重い玄関のドアが開いた。



「あはは、また連絡してよ?今度はもっとゆっくりしていってね」

「うん、春樹くん、またね!」



出てきたのは成瀬くんと、見慣れない他校の制服を着た女の子だった。

女の子は名残惜しそうに彼の腕に絡みつき、成瀬くんはいつも通り、甘く、どこか他人事のような笑みを浮かべて彼女の頭を撫でている。


女の子が私とすれ違い、足早に去っていく。


静まり返った夕闇の中、一人残された成瀬くんの視線が、真っ直ぐに私を捉えた。



「……あれ、ゆりちゃん?なんで俺の家にいるの?もしかして、俺に会いに来ちゃった?」



一瞬だけ見せた動揺を隠すように、彼はすぐにいつもの飄々とした態度を取り繕う。

私は何も言わず、担任に託された書類を鞄から取り出し、彼に差し出した。


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