
孤独を埋めて、満たして
第1章 孤独を埋めて、満たして
── ああ、この人は、私と同じだ。
私には、彼が〈一人でいること〉に耐えられない、ただの寂しがり屋の子供にしか見えなかった。
他人の温もりを貪ることで、自分の内側にある決定的な空白から目を背けている。
それに気づいているのは、おそらくこのクラスで私だけだろう。
なぜなら、私自身も、ずっと同じモノを抱えて生きてきたから。
幼い頃に両親が離婚し、私は母親に引き取られた。けれど母は生活を支えるために仕事に追われ、家にはいつも私一人。
静まり返った暗いリビングで、冷え切ったレトルトの夕食を食べながら、私はずっと孤独という底なし沼に足を取られていた。
だからこそ、高校に入って彼を見たとき、最初は羨ましかった。
いつもたくさんの人に囲まれ、世界の中心にいるような彼が、眩しくて仕方がなかった。
だけど、ある日の放課後、教室で一人ぽつんと夕焼け空を眺めていた彼の、息が止まるほど寂しそうな横顔を見てしまった。
その瞬間から、私は彼から目が離せなくなったのだ。
私たちは、同じ質の孤独を抱えながら、全く違う方法でそれをごまかしている。
私は心をすっかり閉ざして地味な委員長になり、彼は心をすっかり切り売りして派手な問題児になった。
私たちは、交わるはずのない平行線。
……そのはずだった。

作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える