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万華のむつごと

第5章 二十年後の夏祭り

本当に愛しい相手でなければ、口に含んでみたいとは思わない。
健太の雁首を見たとたん、透子はそれを味わってみたいという激しい衝動を抑えられなかった。

初めは健太は戸惑うような目で透子を見下ろしていたが、ゆっくりと口の中で溶かすように舌を動かし、甘く吸い取るうちに、健太の体から力が抜けていくのを透子は感じた。

健太の膝を上げて曲げさせ、両足を思い切り開かせた。
健太の屹立の根元から降りる一本のすじを、指先でくすぐり、柔らかに男の二つの真珠を包んだ薄い肌を優しく捏ねながら、唇で健太を摩り上げた。

いくつもの刺激に胸の縛りを解かれるように、健太が声を上げた。

「あぁ…透子‥」

逞しい肉体とは裏腹の、澄んだ吐息交じりの妖艶な声色に、透子の耳に鳥肌が立つ。

健太の手のひらが、透子の髪をそっと撫でた。受け入れられたよろこびに、透子の体がジワリと温かくなっていく。

互いの想いを重ねながら、溶け合うように委ね合う。これが、透子が四十八手の向こうに夢見た、恋する男とのひと時だった。


透子は立ち上がり、板の間の照明を落とすと、月明かりを背に自分の帯を解いた。

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