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お題小説第9弾「夏の日の…」

第1章 夏の日の…

そっと振り返ると、そこには陸上部エースと呼ばれている、
2年生の三上冬弥先輩がいた。

柔らかい午後の日差しに、
少し茶色がかった髪の毛がキラキラと光っているように見える。
さっきまで誰よりも熱心に練習して汗だくだったはずなのに、
そんな気配を微塵も感じさせないような清潔感ただよう制服の着こなし。
真っ白いスニーカーもまた、爽やかさを一段とアップさせていた。

そして、その手にはさっきまで着ていたウェアがある。
どうやら、出しそびれてしまったようだった。

「しょうがねえな、
 持って帰って洗うとするか…」
「大丈夫です!」

思わず私は大声を出してしまう。

「え?」
先輩は、私の声にちょっと驚いたような顔をしていた。
その顔を見て、しまった、と思い直す。
「あ…えと、だ、大丈夫ですから、
 預かります…からっ!」

先輩は、ちらっと自分の持っているウェアを見て、
それから私を見て、
また、ウェアを見た。

一瞬、考える素振りを見せたが、
はい、とウェアをこちらに差し出してきた。

「ごめんな、手間かけちゃって。
 洗ってくれるの助かるよ」
「いえ!マネージャーのお仕事ですから!」

先輩が洗濯籠に入れようとしたウェアを、
私はひょいと直接受け取った。

じゃあ、頼むよ、と先輩が手を振って帰っていった。
その姿を私はじーっと見送っていた。

胸に、先輩のウェアを抱きしめながら。

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