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お題小説第7弾「薔薇の名前」

第1章 薔薇の名前

☆☆☆
語り終わって、私は、
少し落ち着き、そして、放心していた。

先輩は、黙って聞いてくれた。
ギリリっと奥歯を噛みしめるような音が聞こえた。

「…だから…」

だから、もう、私は先輩とは付き合えない。
そう言おうとした時、先輩が弾けるように私の名を呼んだ。

「梨紗!」

あまりにも鋭く、強い声に、私は驚いて先輩の方に顔を向けた。

刹那

唇が、温かいもので塞がれた。

一瞬、混乱
一瞬の混乱

その意味することがわかって、
目からまた、涙が一筋零れた。

長いキスが終わって、
先輩の唇がやっと離れた。

涙で曇ったその先に、
白波瀬先輩の、優しくて、強い目
私の大好きな目が、あった。

「梨紗…お前はお前だ」
「え…?」
「たとえ薔薇の名を変えたとしても、
 その香りが変わらないように、
 何があったって、
 お前はお前だ…お前のままだ」

その言葉が、私の心の中にわだかまった澱を、
ゆっくり、とかしてくれるような気がする。

「だから、
 どこにも行くな、梨紗」

そこで、一息ついて、一瞬、目を逸らしたと思ったのだけど、
また、私の方に顔を向けてきた。

「それで、その…梨紗…
 ……私は、…答えたんだぞ?」

じっと、見つめられる。
その頬が少し赤らむのが見えた。

ああ…そうだ、
私が好きになった人は、
こういう人だったんだ。

指で、そっと涙を拭う。
ぎゅっと、一度、目を閉じて、
深呼吸をして、
そして、目を開いて、先輩を見た。

まっすぐ、見つめた。

「私は、ずっと、ずっと…先輩が好き…です」

ゆっくりと、互いの顔が近づく。
唇が、再び重なった。

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