お題小説第7弾「薔薇の名前」
第1章 薔薇の名前
くるりと後ろを向いた。
そうだ、このまま、行こう。
もう振り返らずに。
二度と振り返らずに。
足早にこの場を立ち去って、それでおしまい。
全部おしまい。
屋上の扉に向かって歩き始めた時、
ぐいっと意外なほどの力強さで、手を引かれた。
「待てよ!梨紗!」
振り払わなきゃ。
咄嗟にそう思った。
でも、できなかった。
足が止まり、動けなくなった。
俯いた私の目から、涙が落ちそうになる。
「梨紗…一体、どうした?」
先輩が回り込んで、私の肩にそっと手をかける。
髪の匂い
肩に感じる温かさ
それを感じるごとに、私の身体は固くなっていく。
「何があったんだ?」
私の様子がおかしいと思ったのかもしれない。
先輩は、私の手を引いて、コンクリートの張り出しに座らせた。
並んで座って、しばらく黙っていた。
私も、何も言葉を出すことができなかった。
「…言えないことなら、言いにくいことなら言わなくていいけれど
せめて、私の返事は、聞いてくれないか?」
私は俯いたまま、唇を噛む。
その様子を、先輩がどう解釈したのかわからない。
そっと口を開いた。
「好きだ。私も…その、
梨紗と、…多分同じ意味で」
ギリっと私の左手がコンクリートをひっかいていた。
奥歯を噛みしめる。
涙を堪えるので必死だった。
「わ…私は」
やっと言葉を紡ぐことができた。
ちゃんと、言おうと、心に決めた。
分かってもらえないかもだけど、
しっかり、言おうって。
そうだ、このまま、行こう。
もう振り返らずに。
二度と振り返らずに。
足早にこの場を立ち去って、それでおしまい。
全部おしまい。
屋上の扉に向かって歩き始めた時、
ぐいっと意外なほどの力強さで、手を引かれた。
「待てよ!梨紗!」
振り払わなきゃ。
咄嗟にそう思った。
でも、できなかった。
足が止まり、動けなくなった。
俯いた私の目から、涙が落ちそうになる。
「梨紗…一体、どうした?」
先輩が回り込んで、私の肩にそっと手をかける。
髪の匂い
肩に感じる温かさ
それを感じるごとに、私の身体は固くなっていく。
「何があったんだ?」
私の様子がおかしいと思ったのかもしれない。
先輩は、私の手を引いて、コンクリートの張り出しに座らせた。
並んで座って、しばらく黙っていた。
私も、何も言葉を出すことができなかった。
「…言えないことなら、言いにくいことなら言わなくていいけれど
せめて、私の返事は、聞いてくれないか?」
私は俯いたまま、唇を噛む。
その様子を、先輩がどう解釈したのかわからない。
そっと口を開いた。
「好きだ。私も…その、
梨紗と、…多分同じ意味で」
ギリっと私の左手がコンクリートをひっかいていた。
奥歯を噛みしめる。
涙を堪えるので必死だった。
「わ…私は」
やっと言葉を紡ぐことができた。
ちゃんと、言おうと、心に決めた。
分かってもらえないかもだけど、
しっかり、言おうって。
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