
ひとつ屋根の下の愛情論
第14章 側にいる理由
横沢さんが指をさした場所は、少し離れた体育館の入り口の階段だった。
「いいよ――――」
階段に座ると、横沢さんは「はぁ~喉乾いた!」とドリンクを飲みだした。
横沢さんの喉がクイクイくいと上下に動くのを見ながら――――…女の細い首に噛みつく…律夏の姿を想像する。
律夏は――――乱暴に…噛みつきそうだ…
「///な…なに?そんなに見ないでよ…」
俺の視線に気がついた横沢さんは照れならが耳に髪をかけた。
女性らしい仕草に――――普通の男ならドキッとしただろう…
しかし…俺の心は穏やかだった。
「――――俺も…ウーロン茶飲もうかな」
「///あっ、これ――――美味しかったよ…」
“コレ”と言われ――――顔を横沢さんに向けると…
不意に――――彼女の顔が飛び込んできて…
そのまま唇を重ねてきた!
「ん――――…ん…」
さっき彼女が飲んだ…オレンジジュースの甘い香りがフワッと唇から香る。
ディープではない口づけだったが――――彼女からのいきなりのキスに…戸惑う。
“律夏――――”
俺は頭の中を律夏で埋めた。
本当は…律夏と唇を重ねたい…
律夏のたくましい腕に体を奪われたい…
俺は――――
そんなことを考えながら…唇を重ねていると…どんどんキスは激しくなり――――…
俺は横沢さんの口内を舌でむちゃくちゃに撫で回していた。
「///むっ、あっんっ――――チュッ…チュプ…」
「///ハァハァ…ハァハァ…福…田…く、ん…」
「――――甘い…」
唇を放すと――――…俺はため息をついた。
夢中で唇を求めたが…
ぷるぷると柔らかな唇の弾力…オレンジジュースの甘い味…
律夏じゃないと――――…全身で気づかされる。
「///ハァハァ…福田君…///私――――」
「ごめん――――…その唇…その甘い味…俺の好きな人のとは真逆で…無理だ…」
