
TIME is MONEY
第7章 scene Ⅶ
翔と雅紀が玄関で何か話している
だけどドアは開けっ放しで、何かコソコソ話すつもりではないらしい
雅紀より先に入ってきた翔は “やれやれ“ とでも言いたそうな顔をしていた
「本当、お前って…怖ぇよ」
「分かってたからね」
翔ちゃんは雅紀の会話に着いていけなくて
“何が?“ って思わず雅紀を見たら
「だってかずは俺が出たらすぐパソコン弄るだろうし、あれ見たら間違いないなく翔ちゃんに連絡する。…翔ちゃんだってそしたらここに来るでしょ?」
楽しくて仕方ない、と言った風に笑っている
誰だよ、これ
今まで見てきた雅紀は何だったんだ
バカなのも、時々見せる鋭さも、それだけでも掴めない奴だとは思ってたけど
この雅紀は、それとも違う
全く別の人間に見えるのはどうしてだろう
話し方はいつもと変わらないのに
雅紀が雅紀に見えない
「さて、かず。翔ちゃんも来たとこだしさ、改めてゆっくり話しようか」
「雅紀?お前、いいの?…だって…」
翔の顔が少し曇る
「でも、話さなきゃどうしようもない」
「お前はそれでいいわけ?」
「いずれバレるし、…終わるなら早い方がいいよ」
翔と雅紀の会話の意味が分からなくて、ただ黙るしかない俺
バレる?
終わる?
素性を確かめるだけではないんだろうか
