テキストサイズ

方位磁石の指す方向。

第5章 scene 5

二宮side



「智!」

「っるせえ!!」


ばんっと音がするほど、
強く開けたドア。


「明日の朝、
何時頃いく?」

「あー…とりあえず試合するとこは
近いんだからさ、
そんな早くいかなくてもいいんじゃないの?」

「違う!
その前に翔さんに会いたいの!」

「はぁ?」


…だって。


試合前に会いたいじゃん。



翔さんは、俺だけのなんだから。

他校の女の子たちが
翔さんのことかっこいいって
言ったって、もう俺のなんだから。



「…翔さんに会いたいから
早く、行きたいです…」

「…ふふ、いんじゃね?
お前だけ先行けば?
あ、それとも相葉ちゃんに頼む?」

「っ、うんっ!」

「おっけ、」

「さんきゅ!智!」


それだけ言って、
智の部屋を出た。



…明日の朝は、
頑張るんだから。


よし。今日はもう寝よう。


『おやすみ』


翔さんにそう送って、
瞳を閉じた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ