
方位磁石の指す方向。
第5章 scene 5
「しょ、さ、」
「んー?」
「も、限界っ…」
たくさんキスされてるのは
嬉しいけど…
さすがに苦しくなってきた。
「ふふ、翔さん、好き…」
「…うん、俺も。」
そうやって優しいところが
本当に大好き。
ねぇ、翔さん…
そんな顔見せるの、
俺だけにしてよね。
ほんと、妬くんだから。
最近は、潤くんとたくさん
話してるから、
俺、つまんないんだよ。
わかってくれるかな?
こんなの、俺の我儘だけど
朝だって会えたら会いたいし
帰りだって一緒に帰りたいよ。
「…じゃあ、また――…」
「翔さん!あの、今夜…
電話とか、しても、いい、ですか…」
片言になっちゃったけど、
少しだけ。
ほんの少しだけ素直になれたよね。
いいよね。
「…いいよ。
楽しみにしてるから。」
そうやって、また、
眩しい笑顔を俺に向けた。
