
方位磁石の指す方向。
第7章 scene 6
〜♪
突然聞こえた軽快な音楽にびっくりすれば
チカチカと点滅してる携帯。
…電話だ。
翔さんからかな…。
そんなことを思いながら
そっと画面を覗いた。
「っ……潤くんか、」
『なんだよ。俺じゃ悪いのかよ。』
「っふふ。そんなことないけど…」
『翔さん?』
「へっ!?」
『期待、してたんだ?』
「ちっ、違う違う!
そんなこと1ミリも思ってない!」
…ウソつき。
こんな俺嫌い。
恥ずかしいからって
ウソしかつけないようなヤツ。
こんな俺、大っっっ嫌い。
「…用ないなら切るけど、」
『ちょちょちょっ。待っ──…』
「まーたーなーいー」
『宿題っ』
「は?」
『和に渡しそびれた宿題、
どうするかって聞こうと思って…』
…そんなことか。
なんて思いながらも
「そんなのいらないよ。
潤くんの明日写させてもらう。」
『はあっ!?』
「それだけ。俺もう眠いから寝る。」
半ば無理矢理切った電話。
潤くんには悪いと思ってる。
…でも今は。
もう眠ってしまって、
なにもかも忘れたかった。
既読ついてるクセに、
返信しないなんて、サイテー。
