
今日も明日も
第60章 見えない鎖 part Ⅲ
車が止まった
また、荷物みたいに引きずられて地面に落とされた
「…っ」
草の上?コンクリートより衝撃が少ない
「目隠しは外してやるよ」
簡単に後ろの結び目を解かれ、解放された瞼をゆっくりと上げた
ー…ここはどこ?
山の、中?
「じゃあな、かずなり」
聞きたい事はいっぱいあるけど
俺を降ろしたら用は済んだ、とばかりに背中を向けられた
「3日、頑張れよ」
“どっちにしろ、お前に明るい未来はないけどね“
ぽい、と倒れてる俺の前に投げられたのは
未開封の缶ジュース
俺の好きな、りんごジュース
「優しいでしょ?、俺」
そこにあったのは、怖い顔じゃなくて
遠い昔の
まだ優しかった頃の
“お兄ちゃん“ の笑顔だった
「おにぃちゃ…っ」
「死んだらゲームオーバーだから」
だけどその笑顔は一瞬で消えて、すぐに冷たい笑みに変わる
そして俺を残したまま
車はいなくなってしまった
