
今日も明日も
第50章 単純同士の方程式
相葉さんが、「あー…」と左手で頭を掻いた
だけど右手は相変わらず俺の左手から離れない
「ごめん、怒ってた訳じゃない」
嘘
怒ってた
口調だって冷たかった
俺を見る目が優しくなかった
「お前がさ、迎えに来た時……」
相葉さんを店の前まで迎えに行った時
一緒に待ってくれてたスタッフさんが顔見知りでもあったし、楽しそうな雰囲気を壊したくなくて
その人が抱き着くのを軽くあしらった
笑いながら、ベタベタ触る手を離した
毅然として断らなかった俺に納得出来なかった
平気で触るスタッフさんに嫉妬した
「…バカじゃないの?」
一部始終を聞かされての感想
何勝手に怒ってんだよ
嫉妬なんかする必要全くないじゃない
俺の事、どんだけ見くびってるの?
「アナタの恋人は誰ですか?」
殆ど酔いが醒めて、しゅんとなった相葉さんを睨み付けた
「……俺?」
何で疑問系なんだよ
「アナタが好きなのは誰?」
「にの」
ほら
分かってるじゃんか
