
僕らはずっと…
第2章 学校
何も言葉を発さず、帰る。
電車に乗って、家への道を歩く。
俺が話さないからなのか、春は静かに着いてくる。
「しゅう、帰り遅くなってごめんね。」
春が謝ってくる。
俺が起こっていると思っているのだろうか。
なんだか声が出ない。
「しゅう、怒ってる?」
いつもなら好きな春の声が耳にさわる。
さっきの佐野の告白が頭をよぎる。真っ赤になった二人の顔。
自分の思いを春に伝えられる佐野が正直うらやましかった。
春をどんなに好きでも、春に思いを伝えられない。
俺は春を独り占めできない。
その事実を俺は実感した。
