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プリンス×プリンセス

第73章 駆け引き

湖の小道を抜けて、少しだけ拓けた場所にそれは建っていた。

ログハウス調の外観。

フォレストカラーの屋根が、周りの景色に溶け込むような印象を与えている。

「ここは…?」

ティアナ様の呟きに、安心させるように微笑む。

「ここがユーノスのアルバイト先です」

「喫茶店…なのかしら?」

ティアナ様の目線の先にある木製のドアの横にはプレートが掛かっている。

木の板に彫ってある名前は

『Caf'e&Tea-Room・Y』

「ティールーム…ワイとお読みするのかしら?」

「ええ、そのようです」

「マスターがヤリスさんって名前なので、頭文字じゃないですかね」

ユーノスが鼻の頭をこすりながら答え、入口に向かった。

その後に続こうとしてティアナ様を見れば

「あ…しばらくここで待っていてもらえる?」

ベビーカーを引いた侍女と、マキシミリオン君に声をかけていて…

さあ、いよいよだわ。

深く息を吐くと、顔を上げて入口の扉を開けた。

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