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プリンス×プリンセス

第72章 聞いてない!

ディオは頷き返すと、ルークス達がいる場所に歩き出した。

そんなディオの背中に小声で愚痴をこぼす。

「言うつもり…あるのか無いのか、どっちなんだよ!?」

枷を負え?

お前が負ってる枷って何なんだ?

それが聞きたかったのに…

『その役割を棄てろと言ったら、お前はどうする?』

『お前にその覚悟があるならな』

ディオの言葉が頭の中で語りかけてくる。

覚悟、か。

確かに俺にはその覚悟がない。

エストラーザの王子の身分も、姉上の弟の立場も、何もかも棄てたとして…

ただの一人の人間としての俺が、どうしたらお前の傍にいられるんだ?

心の中の問いに答えられない。

答えられなくて…無意識に口角を引き締める。

するとディオが振り向いて…

「何をしている?戻るぞ」

いつも通りの冷淡な口調。

悩んでいる俺を馬鹿にしているような声に、反射的に答えた。

「分かってるよ!」

そして走る。

ディオの傍に…少しでも長くいられる様に。


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