テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第71章 王女の悩み

心が暗い闇に覆われていく。

その感情の持って行き場が無くて…

自然と顔を強張らせてしまう。

するとグレイス王女は目を閉じて…苦笑いのように息をこぼした。

「同時に…私は恋を諦めました」

え?

「…それは…ディオとの…?」

おそるおそる問いかければ

「ご安心を。ディオチェスター様に抱いているのは尊敬です」

グレイス王女は私を見て優しい笑みを浮かべた。

「私が諦めたのは……私には一目惚れをした相手と結婚する事は出来ないのだという事」

「あ…」

あの記者会見の時の…ディオの言葉。

『一目惚れだ』

記者の質問が煩わしくてそう答えたのだと思っていた。

その言葉を、この人は…そんな気持ちで聞いていたの?

「そして、それをどう汲み取ったのか…シエンタの暴走の火種を作ってしまったのは不覚でした」

グレイス王女はゆるゆると首を横に振って、悔やむような口調で話す。

だから…なのね。

シエンタ王女の件を事ある毎に詫びてくる理由が、やっと解った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ