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プリンス×プリンセス

第66章 湖畔の少年

行き先?

もう決まってるのか?

ディオに聞いてもはぐらかされて、俺には何も教えてくれなかったのに。

「へえ…どこに行くんだ?」

「トグル王国ですって」

え?

思わず目をぱちくりさせた。

トグル王国って…

艶やかな銀髪を揺らす、グレイスの姿が脳裏に浮かぶ。

「ディオが昔、留学した先で…自然に囲まれた場所でのんびりできるからって」

「あ…そうなんだ」

思い出の場所、って事か?

「でも…留学先って、もしかしたら…」

「ん?」

「あの…シエンタ王女の言ってた…」

思案しながら話す姉上に笑いかける。

もうそんな事、気にしなくても大丈夫だよ。

「グレイス王女だろ?」

「え?」

「何度か話したけど、話の分かる子だったよ?」

「え?いつ?」

「キサンタンガムに行った時。あと、マックスのお披露目会で」

姉上はポカンと俺を見て…それからホッとしたように表情を緩めた。

「あ…そうなの。知らなかったわ」

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