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プリンス×プリンセス

第54章 違和感

「まだ納得されませんか?」

俺の横で見守るジュークの問いに、ハッと短く息を吐く。

「夕べの話だろ?分かってるから」

そう答えながらも、どうしても渋い顔をしてしまう。

夕べ、ディオの執務室へ乗り込んだ。

「公務だとはいえ、姉上を利用しすぎだろ!?」

憤る俺に、ジュークは諭すように話す。

「お言葉ですが、これはティアナ様の意思です」

は!?

「ご出産なさったら暫くは公務に参加できないだろうから、今、出来るだけこなしたいのだと」

チラッとディオを見れば、仕方ないだろうとでも言うように眉を上げる。

「勿論、当日の体調によっては取り止めることもあります。決して無理はさせません」

「…だそうだ」

ディオは息を吐くと、再び書類に目を落とす。

「ならば俺が止めることもあるまい」

「それは…そうだけど…」

それでも釈然としないのは。

姉上が急にそんな事を言い出す理由が…分かるようで分からないから、かもしれない。

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