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プリンス×プリンセス

第52章 信じる力

けれど、撃たれたときの…私の腕の中で苦痛を堪えている顔は今でもはっきり覚えている。

だからあの時、二度とこんなことは起こさないって願ったの。

なのに…

あの子を苦しめてるのは…私、なの!?

私の考えには気付いていないテリオスは、ディオに食って掛かっている。

「そうだなって…これ以上俺に何をさせる気だよ!?」

「まぁ、そういきり立つな。呑むか?」

ディオはくくっと笑いながら立ち上がると、サイドボードからナイトキャップ用のお酒を手にした。

「呑まなきゃ話せない事かよ!?」

「俺が呑みたいんだ。付き合え。何がいい?」

不満げに唇を曲げながらも、ディオの差し出すショットグラスを受け取っている。

何だかんだ言っても仲のよい二人の様子を見ながら、私の心にはテリオスの声が重く留まっていて…

『これ以上俺に何をさせる気だよ!?』

胸がぎゅっと痛む。

テリオスだって不満に思っているんだわ。

そうよね。

誰だって…みずから好んで危険な目にあいたい訳ないもの…

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