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プリンス×プリンセス

第51章 微笑み

「俺のせいで…身一つで逃げ回って。やっと辿り着いたこの地で俺を産み落としました」

逃げ回った…?

聞いていた話と…俺が想像していたものと何か違う。

もっと単純な…迷惑がかかるとか、騒動に巻き込まれる前に動いたとか…そんな理由じゃなかったのか!?

「それからずっと母と二人…贅沢はできませんが、一緒に暮らせて幸せでした」

そうなんだろうな。

母親を語るお前の顔は、愛情を感じている人のそれだから。

普段の執事然とした顔より、今の方がよっぽどいい顔をしているのに。

「…だったら、何で自殺なんか…」

思わず口をついた言葉に自分でも驚いて、咄嗟に手で蓋をした!

だけどその言葉は、ジュークに届いてしまった。

「自殺?誰が?」

さっきまでの穏やかな顔が消えた。

冷ややかな目を向けられて、固唾を呑むと、迷いながらも答える。

「お前…ジュークのお母様……」

ディオはジュークの母親を、自殺したって言ってた。

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