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プリンス×プリンセス

第46章 マタニティーブルー

シルフィの励ましに姉上は口元を緩ませた。

安定期に入ったって聞いたのに。

ホッとしてたのが吹き飛ばされた気分だ。

「気分はどうだ?苦しくない?」

「そんなに心配しなくても」

「姉上が具合が悪ければ、お腹の子にも影響するだろ?」

姉上ひとりの体じゃないし。

普段からあまり丈夫じゃないんだから、いつもより気をつけて当然だ。

すると姉上は口を歪めた。

「テリオス…」

俺の名を呼んだ途端、ぼろぼろと涙があふれて…

「わ、どうしたんだよ!?」

「ティアナ様!?」

姉上が泣き出したからか、波形のグラフが急に乱れた。

「え!?医者、呼ぶか?」

「胎動の波形なので大丈夫だと思いますが…ティアナ様、どうされました?」

姉上は俺とシルフィを見ながら、懸命に涙を拭っている。

でも、あふれるものを止められないようで…

「赤ちゃんが大切なのは分かってる。私もせっかく授かった命を大切にするためだって理解してる」


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