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プリンス×プリンセス

第39章 気持ちが悪い

「雑誌を見て…なんて嘘、まさか信じると思わなかったわ」

俺もな、最初はそう思ったさ。

「これなら簡単に騙せると思ったのよ?」

だけどシエンタの演技が巧すぎて。

言われるように、簡単に騙された。

「その割には、随分と時間をかけたものだな」

ディオが嫌味を込めた口調で話すと、シエンタは笑みを消した。

「それは…コイツがいつまでも煮え切らない事ばかり言って、思い通りに動かないからよ!」

うわ。ついにコイツ呼ばわりされた。

シエンタに罵倒されているのに、まるで他人事のように聞こえてしまう。

現実感がなくて…悲しくも、怒りも、何も湧かない。

「色々考えて誘導して…やっと道が拓けたと思ったのに!!」

「それほど手をかけたと言うことか」

ディオは眉を上げてシエンタを見ると、口角を上げて小さな笑いをこぼした。

「お陰で助かった」

「…え?」

ディオの態度に、シエンタが眉をひそめる。

余裕さえ感じさせるようなディオの落ち着きに対して、姉上は顔を歪めてシエンタを見つめていた。

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