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プリンス×プリンセス

第38章 奸計(かんけい)

ディオの側へ寄ると、そう言って雑誌を手渡そうとして…

その瞬間。

俺の横を黒い影が通りすぎた。

え?

咄嗟にそっちを向けば、アリオンがディオへ手を伸ばして…

「なっ…!」

俺は驚きのあまり、声をあげることしか出来ない。

その間にアリオンは、ディオの持つ雑誌を掴み取ると、その勢いでディオの腕を払い上げる。

「きゃ…っ!!」

姉上の短い悲鳴が聞こえた。

そして

「それまでです」

その声と共に、アリオンの背後に回ったジュークが、アリオンの首元へ手刀を撃ち込んだ。

「ぐっ…!」

アリオンはうめき声をあげて崩れ落ちる。

「ディオチェスター様!?」

「無事だ」

ディオの答えに安堵の息を吐くと、ジュークはアリオンの腕を後ろへ捻り上げた。

「うっ!!」

「貴方がしたこと…冗談では済まされませんよ?」

腕を捻られ、アリオンは苦痛に顔を歪める。

「アリオン!」

シエンタの悲鳴じみた呼び声がその場に響いた。

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