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プリンス×プリンセス

第37章 疚しさの裏で

車窓から流れ行く景色を眺めていた。

ああ、この道は。

フェールロコノから戻ったときに、カムリが運転した道だ。

戻るときにはカムリが迎えに来るって言ってたのにな。

今、この車を運転しているのはカムリではなくて
、サーバル国の従者だ。

そして、俺の横には…

窓から隣へ視線を向ければ、そこにはシエンタがいて…

落ち着かないようで、さっきから何度も姿勢を変えたり、座る位置をずらしたりしていた。

「もしかして、緊張してる?」

笑いを引っ込めて聞けば、シエンタが照れながらも俺を睨んだ。

「…しますよ。強引だったかなって…印象悪くなったかも…」

尻窄みに話すシエンタに、思わず笑ってしまう。

シエンタが姉上に会いたいと言ってきた時。

俺としては姉上に、エストラーザへ来てもらおうと思ったんだ。

姉上も久方ぶりに自国に戻れるし、シエンタに会うついでに国王や兄上に会えるだろうし。

だけど、シエンタに止められたんだ。

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