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プリンス×プリンセス

第29章 男で構わない

それを…わざわざ?

「お前が薔薇を育ててるのを見たから、かもな」

ディオの言葉に、湯槽を逃げる花弁を追っていた指が止まった。

へ…?

「あれだけ手間がかかるものを、簡単に棄てられなくてな」

そんな言葉をディオの口から語られるなんて。

「あ…ありがとう…」

思わず感謝の言葉を口にすると、ディオは意外そうに口を曲げた。

「お前が作ったものではないのに、何故礼を言う?」

「誰が作ったとか、そんなのは問題じゃない。言いたいんだから聞いとけ」

すると、ディオは短く笑った。

「自分本意か」

「どうとでも取れよ」

フン、と鼻を鳴らすと、肩までお湯に浸かり直した。

ふわりと薔薇の香りが鼻孔をくすぐる。

こういう使い方も…アリかもしれない。

頬を緩ませてその香りを堪能していると、ディオがその場にしゃがんで…

パシャッ!

水しぶきが顔にかかった。

「何するんだ!?」

顔を拭ってディオを睨み付ける。

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