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プリンス×プリンセス

第79章 写真と涙

どうしてそんな表情をするの?

ジュークに守りたいものが出来て、それが娘なら――幸せな事、でしょう?

「ティアナ様」

ルークスは口元を引き締めて、眉を寄せた。

「こんな話は許されるものではないと分かっています。…それでもあなたに伝えたい」

真剣な表情に、私も受け止めるための覚悟をした。

「構わないわ。話して」

強ばる頬を押さえてルークスを見る。

「…これから話す事は、臣下としてではなく、私個人の思いです」

そんな前置きをして、ルークスは頭を下げた。

「ジューク様が家庭を持つ…そのきっかけを与えて下さって、ありがとうございます」

え……?

考えていたものとは真逆な話をされて、どう反応したらいいの?

「あの方が前を向いて生きていく…そう思えたのは、子供の存在が主なのでしょう」

ルークスは頭を上げた。

その表情はさっきとは違い、柔らかなもので…

「やっと自分のために生きる事が出来るのかと思うと、良かったのだと思います」

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