君が書く手紙
第2章 ドナーを探して
もしかしたらご家族は、
私に会いたくないかもしれない。
自分の大切な家族が亡くなった代わりに、別な誰かが生きるなんて悔しいと思う。
私はどうかな?
そんなこと考えたこともなかったけど。
あれから私は、お世話になってる病院へ顔を出した。
先生に話すと、先生は教えられないときっぱり言った。
だけど私が何度も頭を下げるものだから、観念してご家族の住所を教えてくれた。
電車に揺られて数時間。
新幹線と乗り継いでいく遠い遠い場所に、ドナー家族の家はあった。
知らない町に一人降り立つと、拒否されしまうかもしれないという不安に駆られた。
もしかしたら、傷つけてしまうんじゃないかって思った。
だけど私は知りたいの。
この地に着くまでにも何度も鳴った胸の鼓動。
ねえ、
あなたは誰?
どんな人なの?
昔ながらの一軒家。
【松本】と書かれた表札の前で立ち止まる。
ここだ。
ベルを鳴らそうか、ボタンに手をかけてはおろすの繰り返しをしていると、かわいい声が飛んできた。
「お姉ちゃん、誰?」
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